この展覧会は日本の気鋭若手写真家8人の作品を展覧するものです。優れた作品は、社会における感覚器官の役割を果たしています。この展覧会の出品作家たちは、過去の価値観が大きく転換しつつある現実を真摯に見つめながら、「手探り」ながらも現代の価値観を反映した新たな表現の可能性を試みています。
彼らはそれぞれに自分の手法と視点から、過去を見直し、修正し、解体し、再解釈して、まだ見ぬ未来への予感を含んだ作品を創り上げています。それはドキドキとして、おそるおそるながらも、未知の領域に踏み入ろうとする甘酸っぱい行為です。またそれはかつてのような善悪が単純な二元論で片づけられるような声高な主張ではありません。とても微妙で、複雑で、静謐で、あたかも「キッス」のような微熱をおびている、魅力的な作品群です。この展覧会はそうした作家たちの作品を展覧することにより、新たな写真の可能性を展望しようとする試みです。