戦後、風景画家として着実な歩みを続けた東山魁夷画伯(1908-1999)。その作品の中には、デザイン的な要素を持つものが少なくありません。
今回の通常展では、緞帳関係作品や表紙絵に、スポットをあててご紹介いたします。
地域の顔というべき市民ホールや劇場に飾られる緞帳は、舞台の重要な機能と装飾性を併せ持つものです。画伯は原画制作の依頼を受けると、その土地にふさわしい題材を心がけたといいます。オリジナル原画にもとづく作品だけでも、ざっと十数点にのぼります。
西陣綴錦織の伝統の技から生まれた旧日経ホール《太陽樹》。そこには、日本画とは異なるもう一つの東山芸術の世界を見ることができるでしょう。市川市文化会館の大ホール緞帳原画《緑の微風》、帝国劇場緞帳小下図《爽明》等とあわせて、モダンなデザイン感覚あふれる表紙絵の数々を、ごゆっくりお楽しみください。