「芸術は爆発だ」と叫ぶポーズや大阪万博の「太陽の塔」などで圧倒的な存在感を示し,また画家,彫刻家,写真家,文化人類学者,評論家などという多面的な顔を持つ芸術家・岡本太郎。彼はまた,「縄文の美」の発見者でもありました。19才で渡仏し,1933年,画家として「アプストラクシオン・クレアシオン」(抽象・創造協会)に参加し,抽象芸術の道を歩みます。しかし,次第に絵を描くことに疑問を感じ,哲学,社会学を学ぶため,パリ大学に入学。また,ミュゼ・ド・ロム(人類博物館)でマルセル・モース教授から民族学を学びます。そして,帰国後1951年に偶然訪れた東京国立博物館で,縄文土器と衝撃的に出会います。翌年その感動は「縄文土器論」として発表され,日本文化界に美意識の革命を起しました。
本展は縄文への関心が高まる今,古代縄文人が驚異の造形力で,土に託した美の呪力とその美の世界を縄文出土品約30点でご紹介すると共に,その美の発見者である岡本太郎が魅せられて到達した岡本芸術の真髄を,油彩・立体・写真など約70点の作品でご覧いただくものです。