「名物裂(めいぶつぎれ)」とは、茶人が掛物の表具や茶道具の袋として珍重した「金襴(きんらん)」「緞子(どんす)」「間道(かんどう)」などの渡来織物の総称である。その起源は、鎌倉時代に禅宗文化とともに伝来した高僧の袈裟や仏典の包み裂に始まるといわれる。元・明時代の中国から舶載されたそれらの高級染織品は、やがて室町時代以降の茶の湯の興隆とともに、名物道具の表装裂や茶入の仕覆に使用されるようになり、茶人たちの鑑賞の対象となった。今回は「名物裂」の「伝来・受容・鑑賞」をテーマに、名刹・名家に秘蔵されてきた、初公開を多数含む門外不出の金襴袈裟・名物裂仕覆・裂手鑑など、約200点余りを展示し、「名物裂」の多種多様な魅力を紹介する。
【出品作品】
・白地角龍金襴九条袈裟(禅林寺金襴) 元時代14世紀 京都・禅林寺蔵
・朝倉間道仕覆 明時代16世紀 五島美術館蔵
・名物裂(加賀前田家旧蔵) 東京国立博物館蔵 など