「纏う」。
これは、古来より私達の暮らしとは切り離すことの出来ない生活文化であり、時代や地域によって変化を遂げつつ今日に至ります。
794年の平安京遷都以降、日本独自の文化が花ひらいた京都は、服飾についてもそれまでの唐風の文化を基盤とした上で、それとは異なる和様美を完成させた地であるといえます。それは、源氏物語絵巻などにみられる優美な衣裳からも明らかです。自然の風物を愛で、季節の移ろいを感じ取る心により生まれた雅やかな衣裳の数々は、京都の「纏う」文化の象徴ともいえるものです。
また、応仁の乱の後に、西陣でさかんに織られるよるになった西陣織や、江戸元禄期の扇絵師・宮崎友禅斎により大成されたとされる友禅染などは、今も京都に息づく「纏う」文化です。
本展覧会では、我が国の「纏う」文化を担い、困難に直面しながらも発展を遂げてきた西陣織・京友禅・京鹿の子絞の着物・帯とその制作工程についての展示を行います。また、特別展示としてかさねの色目が美しい十二単や華やかにして可憐な舞妓の衣裳、そして新撰組組長であった近藤勇が好み、通ったとされる京都島原の太夫の衣裳なども併せて展示します。
1200年の時を経て、連綿と受け継がれてきた京都の「纏う」文化に思いを馳せていただくと同時に、多くの職人の手から手へつながれて完成する美術工芸の粋に触れ、京都より発信される「纏う」文化の素晴らしさを改めて感じて頂きたいと思います。
前期:10/2~31
後期:11/2~28