北海道を中心に、東北地方北部並びにサハリン南部、千島列島に先住してきたアイヌの人たちは、独自の文化を育んできましたが、そのひとつに「造形の美」があります。アイヌの人たちは、日々の生活のなかで「美」を創造し、「形」として、また「文様」として生活用具や工芸品などに具現化しました。その技と感性に、神々とともに生きたアイヌの人たちの「心」を見ることができます。
本展覧会は、「造形の美」に焦点をあて、先人の残した生活用具や工芸品、現代作家の作品を展示・公開し、アイヌ文化の伝統と現代を紹介するものです。
また、特別展示として、尾張徳川家康第19代当主・徳川義親関連アイヌ関係資料を公開します。かつて北海道土産の定番であった木彫熊は、大正末期、義親公がスイスにて購入した木彫熊をモデルに、北海道八雲の徳川農場の人たちが製作したものがルーツです。当会場では、これらの木彫熊と、義親公が親交を結んだ八雲(ユーラップ)アイヌの民族資料を公開しますが、いずれも初めての公開です。