日本の近代彫刻に大きな足跡を残した荻原守衛(号・碌山。1879-1910)。単に形態を写し取るだけではない、ロダンに影響を受けた生命感溢れる躍動的な作風は、当時日本の彫刻界で大きな話題を呼びました。しかし、若くして病に倒れた守衛が美術の世界に身を置いたのは、わずか10年余り。当初画家志望だった彼が彫刻を制作したのはそのうちたった3年半で、現存する彫刻作品も15点にすぎません。なぜ守衛は、この短期間にこれほどの名作を残すことができたのでしょうか。本展覧会では、守衛の彫刻作品をはじめ、画塾・不同舎でのデッサンや留学時代の人体デッサンをはじめとする絵画作品や書簡類等の資料をあわせて展示し、没後100年を契機に、信州が生んだ芸術家・荻原守衛の業績を顕彰します。さらに、特集展示として、守衛の没後、その影響がどのように引き継がれ、また変化していったのか、戸張孤雁、中原悌二郎、高村光太郎、朝倉文夫らの作品によって考察します。