歌川広重(1797~1858)は天保初期に「東海道五拾三次之内」を制作し、浮世絵風景画の絵師として名を成すことになりました。この作品の特徴は各宿場の景観にさまざまな季節や朝、昼、夕方、夜などの時刻、さらには雨、雪、風の天候を加えました。自然の営みを多く取り入れた画面構成は作品を鑑賞者を作品の中に誘い、旅人になった気持ちにさせました。この作品の後、広重にはさまざまな版元から仕事が来るようになりました。好評を博した保永堂版東海道の数年後には「木曽街道六拾九次之内」を制作します。当初は広重の単独版行予定でしたが、広重のスケジュールが合わなかったようで、溪斎英泉(1791~1848)が起筆し、24図描きます。その後に広重が47図を描き完成させました。
この度は、広重の代表作「東海道五拾三次之内」と「木曽街道六拾九次之内」の二つの街道絵を紹介します。一堂に展示する2つの街道絵を通して、広重の画風の変遷をさかのぼってくだされば幸いです。広重が志した浮世絵風景画の世界をご堪能下さい。
前期:平成22年9月4日(土)~10月3日(日)
後期:平成22年10月8日(金)~11月14日(日)