日本の絵本界のリーダー、太田大八(おおた だいはち:1918年~)は、1949年のデビュー以来130冊以上の絵本と、230冊以上の児童書などに挿絵を描いてきました、91歳となる今でも、新しい表現に挑戦し続けていて、作品の幅の広さと、表現の多彩さでは他の追随を許しません。
また、1964 年の「日本児童出版美術館連盟」の結成、1990年の絵本評論専門誌「Pee Boo」の創刊および「絵本学会」の設立、2003年に発足した「子どもの本 WAVE」の結成など、戦後日本の絵本のレベル向上や、画家たちの社会的地位の向上、絵本を通じての国際交流に広く貢献し続けてきました。
こうした太田の60年にわたる活動を記念すべく、本展覧会は企画され、このたび太田ゆかりの地長崎でようやく開催されることになりました。太田は、大正11年(1922)3歳のときに一家で父の郷里である長崎県大村市にロシアより引き上げてきました。大村という海辺の町でののびのびとした幼年時代は、いとこのこうちゃん兄弟との思い出が名作絵本『だいちゃんとうみ』ともなっているように、絵本作家・太田の原点をかたちづくったといえるかもしれません。
本展覧会では、太田の代表的な絵本原画を中心に、タブローの作品なども展示し、あわせて、太田と親交のある日本の絵本作家による絵本原画を展示します。戦後60年間に発展を遂げた日本の絵本出版史の全貌が明らかになる展覧会です。