日本画への飽くなき挑戦、画業60 年の軌跡を辿る
このたび、長崎ゆかりの日本画家、松尾敏男の画業を一望する展覧会を開催いたします。松尾は昭和24 年(1949)再興第34 回院展に初入選して以来、昨年で画業60 年を迎えました。現在84 歳の松尾は、日本美術院同人、日本藝術院会員として精力的に活動を続ける一方、昨年12 月には日本美術院理事長に就任、後進の育成に努めています。
松尾は大正15 年(1926)長崎市今籠町に生まれ、3 歳まで長崎で過ごします。上京後、17 歳のときに堅山南風に入門を認められ、戦後、新進の日本画家としてスタートを切りました。そして23 歳で院展に初入選して以降、日本美術院を主な活動の舞台として、精力的に作品を発表し続けることとなります。
その題材は花鳥画から人物群像、さらに北海道、中国、インド、ヨーロッパへと取材先を広げて多方面にテーマを模索します。この期間の日本藝術院賞をはじめとする数々の受賞歴は、松尾芸術が持つ独自性、テーマ性、そして高度な技法などが高い評価を得てきた証しといえるでしょう。
本展は、初期の作品から新作まで44 点を展観することにより、名実ともに日本画壇を代表する一人である松尾がこれまで築き上げてきた芸術世界、そして日本画への飽くなき挑戦の軌跡を辿るものです。