滋賀県立近代美術館では平成22(2010)年10月19日(火)から11月21日(日)まで企画展「生誕100年特別展『白洲正子 神と仏、自然への祈り』」を開催します。生誕100年で13回忌にあたるこの年に、随筆家・白洲正子が執筆した随筆の中で触れている、神・仏像や絵画の名作を中心に展示し、季節感あふれる映像を交えて、美意識あふれる彼女の世界を紹介します。
白洲正子(1910-98)は、明治43年に樺山伯爵家の次女として生まれ、幼少より英才教育を受けて、能をはじめとする伝統文化に興味を持ちました。昭和4(1929)年に白洲次郎と結婚、後に評論家の青山二郎や小林秀雄と交友を持ち、古美術や骨董の世界に開眼しました。
特に、各地の寺社を訪れて、日本の伝統的な美意識と神観念、仏教との関係などを探求し、『かくれ里』や『近江山河抄』などの紀行文を中心としたもの、『十一面観音巡礼』や『西国巡礼』など紀行文とともに各地の仏像などを関連づけて述べた著作などを残し、高い評価を受けるとともに、今もその生き方に憧憬の眼差しを向ける人々が多いことで知られています。
今回の展覧会では、白洲正子の著作のなかで紹介された、国宝や重要文化財を含む、仏教美術や絵画などの作品を中心に、彼女が探求した神仏観と美意識など、美しいものを愛おしむ世界観を再検証いたします。