五穀を蓄え、また水を貯めるための生活必需品であった壺や甕。その姿に見出される「力強さと素朴さ」は、平安末から鎌倉、室町時代にかけての、中世に作られたやきものの大きな魅力のひとつです。
豪快で無骨な常滑や越前、明るく健康的な信楽、質朴で釉流れの美しい丹波、堅牢で堂々とした越前、そして唯一釉がかけられ優雅さと逞しさを兼ね備えた瀬戸と、六古窯の名でしたしまれてきたこの時代のやきものは、多くの人々の心をとらえて離しません。
本展では、六古窯で生産された壺・甕・瓶子などの代表作品を中心に、渥美窯、猿投窯、珠洲窯など、各地で生産された優品をあわせて約170点を展観し、中世のやきものの魅力とその全体像に迫ります。また最新の発掘成果を含めた研究の集大成として、MIHO MUSEUMを皮切りにその後全国四会場を巡回する、実に三十年ぶりの大展覧会となります。