東京都現代美術館「MOTコレクション」では約4000点にのぼる収蔵品を核に、「現代美術」についての理解を深めるため、多角的な視点からテーマを設けてこれを紹介しています。今期は、当館のコレクションと新収蔵品を併せて紹介する企画として、「入口はこちら-なにがみえる?」展を開催します。会場にならぶたくさんの作品を「入口」ととらえ、その中に広がっている世界と、こちら側にいるわたしたちとの関わりかたを考えてみる展覧会です。
入口はこちら——なにがみえる? そう呼びかけるのは、展示室に並べられた作品たち。それらは、開かれたドアのように、その向こうにあるもうひとつの世界へとわたしたちを誘います。そこはたぶん、わたしたちの立っているのと、似ているようで違う場所。この展覧会で紹介する作品はどれも、それぞれが持っているフィクションの世界を通して、わたしたちの住む現実へとはたらきかける力を持っています。
たとえば、モチーフの輪郭や表面を淡々と描くことで、絵画と現実とのひりひりするような接点をさぐるO JUNの作品。見るものを空間へ導くしかけによって、視覚による世界の捉え方を塗りかえようとする杉戸洋や池田光弘の作品。映像や絵画と、身体との距離をとおして、世界に触れる方法についてのあたらしいモデルを示そうとする泉太郎や日高理恵子、ショーン・グラッドウェルの作品・・・。
誘われるままに、その世界へと飛び込んでみてください。そのなかで出会うであろう刺激の数々は、あなたの知覚や想像力を、次々と更新してくれるはずです。