生活を楽しくする文化としてのデザインを発信する21_21 DESIGN SIGHTでは、2011年2月2日より、企画展「倉俣史朗とエットレ・ソットサス」展を開催します。
日本を代表するデザイナー 倉俣史朗(1934.11.29 - 1991.2.1)と、イタリアデザイン界の巨匠 エットレ・ソットサス(1917.9.14 - 2007.12.31)。二人の交流は、1981年、デザイン界に衝撃を与えた「メンフィス」(*1)プロジェクトをきっかけに深まりました。モダニズムに息苦しさを感じていた二人は、ソットサスは西欧的イデオロギーを背景に、倉俣は日本的感性をもって、デザインという言語で語り合い、夢を見、美を探求し、友情を育みながら、創造の可能性を探り続けました。表現の異なる二人ですが、ともに、機能性や利便性を超えて、生活に喜びと驚きをもたらすデザインを求めたのです。
会場では、倉俣の1980年代以降の透明感に溢れた希少な作品65点と、ソットサスが最晩年に残したドローイングをもとに、本展にあわせて制作された世界初公開作品「カチナ」(*2)20点を紹介します。
行きすぎた市場主義や物質社会の再考が求められる現在、デザインやものづくりの意味が大きく変わろうとしています。夢と愛に満ちた二人の仕事を通して、限りなく自由で生き生きとした「デザイン」に改めて出会う、新鮮な体験をお楽しみください。
(*1) 戦後の高度経済成長が一息ついた1980年、エットレ・ソットサスを中心に若手デザイナーや建築家によって結成されたデザインプロジェクト。1981年に第1回「メンフィス」展を開催、センセーションを呼び、その後80年代の建築・デザインに多大な影響を及ぼす。
(*2) 「カチナ」はネイティブアメリカンが信仰する超自然的な存在で、カチナドールはそれらをかたどったもの。人々の想像力を駆り立てるこの人形は、近年ではアートとして評価されており、ジョージ・ネルソン、エットレ・ソットサス、猪熊弦一郎など、「カチナ」にインスパイアされた作家は多い。