1950年代に作家として出発した中村宏(1932~)は、当時の社会状況を記録した「ルポルタージュ絵画」で注目され、以降、女学生や機関車、望遠鏡などをモチーフにした作品を発表。戦後日本社会の世相やその推移を鋭く映し出したものとして高く評価されてきました。80年代以降は「図画機械(タブロオ・マシン)」と称して絵画の構造を問題化する活動を行い、また近年では絵画の読解自体を絵画によって対象化する試みなど、絵画と鑑賞者の視線を模索した作品を制作しています。
本展では、初期作品から近作までの当館所蔵の作品を中心に、イラストやレタリングのほか、自作模型など合わせて約150点を展示し、中村の独自な歩みを紹介します。