今回の「古賀春江の全貌」展は、神奈川県立近代美術館では1953 年の「小出重、古賀春江展」以来となる57 年ぶりの古賀春江の回顧展です。代表作《海》(東京国立近代美術館蔵)をはじめ、生前の古賀と親交のあった川端康成が旧蔵していた作品《煙火》など、油彩約60 点、水彩約60 点、スケッチなどの資料約60 点で彼の生涯と芸術を紹介します。
古賀春江(1895-1933)は、本名は亀雄(よしお)といい、福岡県久留米市の寺院の長男として生まれました。17 歳で画家を志して上京し、キュビスムやシュルレアリスムなど、同時代のヨーロッパ美術に学び、二科会を主舞台として大正から昭和の初めにかけて活躍しました。モダニズムが隆盛した時代、38 歳という若さでこの世を去った画家は、そう長くはない画業のなかで、「カメレオンの変貌」といわれるほど、画風をさまざまに展開させました。そこには、つねに新しいものを追いかけ、変化を求めつつも一貫して変わらない独自の世界観がありました。また、古賀は文学にも傾倒し、絵画作品の解題詩をはじめとしてさまざまな詩を残しています。絵画と詩が古賀のなかで、どのような関係にあったのか。今回の展覧会では彼の詩にも注目し、画家であり、詩人であった古賀春江の生涯と芸術を紹介します。
水彩、スケッチなどは、半期ずつの展示となります。
前期/ 9月18日~10月17日
後期/ 10月19日~11月23日