「芸術上価値が高く、芸術に資する技術として貴重であり又は工芸史上重要な位置を占めるもので、かつ地方的特色が顕著なもの(重要無形文化財指定基準第4項)」―当館では、開館以来、やきものの「技術」と「芸術」に注目し、重要無形文化財保持者―いわゆる「人間国宝」の作品の収集と紹介につとめてきました。
各地で古窯趾の発掘や研究が進み、多くの名品を目にすることができるようになった近代、日本の陶芸家たちは古陶磁と対峙しました。ある作家は産地に眠る古来の技術を「復興」することから、またある作家は、他産地の窯を巡るなかで「発見」した技術を,自らの制作の刺激剤とすることから、新たな表現を生み出しました。「人間国宝」たちは,それぞれの地方に伝わる技術をどのように継承し、またどのように新たな表現を生みだしてきたのでしょうか。
本展では、今年度新たに認定された加藤孝造(瀬戸黒)を含む陶芸分野の人間国宝34名の作品が勢ぞろいします。古陶磁と近代の名品を向かい合わせて展示し、人間国宝たちの技術のルーツと、新たな表現の展開を探ります。