“展覧会という舞台、アーティストという振付師”
「もっと動きを」展では、身体の「動き」と美術の密接で創造的な関係に注目します。
パフォーマンスやダンス、演劇の要素を、絵画、写真、映像、インスタレーションなど、美術表現の形態と融合させる革新的な試みは、戦後美術の中で様々に行われてきました。例えばアクションペインティング、そして60-70 年代には、ビデオというニューメディアの登場によって、パフォーマンスを映像に残し、より永続的な形態で作品化する手段を手にすることができるようにもなりました。近年、身体を表現手段にした歴史的な試みにインスピレーションを得て、パフォーマンスと美術のそれぞれの枠組みを横断し、その関係性を再解釈、静的と捉えられがちな美術がアクティブで豊かな要素を加えて展開する動向が活発になっています。それはまるで振付師のように、アーティストが身体の「動き」という形なき要素を素材に、ユニークな美術作品を生み出していく、創造的、越境的試みといえます。
本展は、身体の「動き」を作品に取り入れたパイオニアから若手作家の試みまで、異なるジェネレーションのアーティストの活動を紹介します。展覧会という2 ヶ月間継続して幕の開く舞台で、またステージと客席の別れていない展示室という劇場で、アーティストたちは美術作品の形式や展覧会の慣例を問いかけながら、作品と場所、演者と鑑賞者との間にユニークな関わりを築いてゆきます。