21世紀の先端技術の一つに、ロボットがあります。江戸時代に当時の最先端技術を集めて作られた、自動化された精巧な「からくり人形」は、現代のロボット工学の原点ともいえるものです。
日本でのからくりの歴史は、中国大陸や朝鮮半島との交流によってその技術が伝来したことから始まりました。もっとも古いからくりの作品の記録は7世紀のことで、指南車(しなんしゃ)を造ったと日本書紀に記されています。
江戸時代になると、からくり技術は、中国及び朝鮮半島から学んだ東洋の技術と、ヨーロッパからもたらされた西洋の技術とが融合し、日本独自の技術として発展しました。からくり人形には、日本の作り手たちの創意と工夫、人形工芸の美しさの追求が発揮されており、その細工には日本独自の技術の繁栄が見られます。それは、日本の様式と文化の結晶といえ、また、日本の技術革新の原点ともいえます。
この展覧会では、そうした日本人の繊細な技と感性そして豊かな想像力によって生みだされた「からくり人形」の数々をご紹介いたします。その高度な仕組みについての理解を深め、日本のロボット技術のルーツに親しんでいただきたいと思います。
日本特有の文化として花開いた「からくり」の世界をお楽しみください。お子様から大人まで、幅広い方々のお越しをお待ちしております。