昭和35年(1960)に開館した五島美術館は、今年で開館50周年を迎えます。これを記念し、愛知・徳川美術館と五島美術館が所蔵する国宝「源氏物語絵巻」を一堂に集め、平安時代の華麗な王朝絵巻の世界を再現します。
『源氏物語』は、平安時代・11世紀に紫式部が著した長編小説です。主人公光源氏の生涯を軸に平安時代の貴族の世界を描いたもので、 成立当初から評判を呼び、現代に至るまで偉大な古典として日本の文化に多大な影響を与えています。 国宝「源氏物語絵巻」は、この『源氏物語』を絵画化したもので、物語が成立してから約150年後の12世紀に制作されました。 成立当初は巻子本で十巻程度であったと思われますが、現在は54帖全体の約4分の1、巻数にすると約四巻分が現存しています。 江戸時代初期には三巻強が尾張徳川家に、一巻弱が阿波蜂須賀家に伝来したことが知られ、現在は額装の状態で、 徳川家本は愛知・徳川美術館が所蔵、蜂須賀家本は五島美術館が所蔵しています。 本展では、現存する国宝「源氏物語絵巻」20段分(19画面)を集め、東京では10年振りに一挙公開します。 同時に、科学的分析の結果を踏まえて成立当初の姿を想定復元した「平成復元模写」も展観予定です。