なぜ日本人は印象派が好きなのか、なぜ外国の画家の間で日本趣味が流行ったのか、という疑問を若いころから抱いていた平松画伯は、パリでの個展を機に印象派という「偉大なる怪物」に挑んでみようと決心しました。画家は、「なぜ」をキーワードに長年の思いを検証するべく旅に出ます。
クロード・モネを始めとする印象派の画家たちが活躍したノルマンディ地方を四季折々に訪ねてスケッチを重ね、約3年間の取材ののち「印象派・ジャポニスムへの旅」として成果を発表しました。ジャポニスムシリーズを契機として、日本画の伝統美を再認識した平松画伯の作品は、次第に華麗な装飾性を前面に打ち出すようになっていきます。
油絵への憧れから画家を志しながらも、戦後日本の美術教育が西洋画中心であることに疑問を感じ、その反発心から日本画への道を選んだ平松画伯にとって、この旅は日本画家としての内面を探る旅でもありました。
今回の展示では、ジャポニスムシリーズ初期の作品を中心に、平松画伯が日本画家の眼を通して見た印象派の風景を展示いたします。