三河の田原藩士の子として江戸に生まれた渡辺崋山は、政治家・文化人として多彩な活動を行いました。絵画においては谷文晁に入門し、南画に加えて洋風画も学び、肖像画を中心に花鳥画・山水画に優れた作品を残しています。しかし、蘭学に傾倒した崋山は、蛮社の獄によって田原へ蟄居し、天保12年、49歳で自刃しました。
遠江で南画が盛んとなるのは、文晁・崋山の次の世代、天保年間(1830-1844)以降から明治初期まででした。文晁に学んだ掛川藩お抱え絵師村松以弘をはじめとし、「崋山十哲」として知られている見附出身の福田半香、榛原川崎出身の平井顕斎、金谷に居住した永村茜山などが、江戸で崋山の教えを受けています。彼らが描いた作品は、現在もこの地方に数多く遺されています。
今回の展覧会では、渡辺崋山を中心に、崋山と遠江の弟子たちの作品を展示します。その優れた作品の数々をご覧ください。