昭和29年(1954)、近代日本画家として、7人目となる文化勲章を受章した、美人画の名手・鏑木清方。系譜の上では浮世絵師の流れを組む組む清方は、江戸時代に狩野派や土佐派などの画家にくらべて浮世絵師たちが一段低く見られていた事を踏まえながら、「浮世絵末流」を自認していたようです。
「絵画や文芸が人の作った芸術なら、自然や人間は神の造った芸術です。人間の中でも美しい女性は殊に、全智全能の神の心を籠めて造られた美の結晶といふべきものです。」
こう語る清方は、日本画の近代化の中で、女性美を自らの美意識によって、恒久不変の美として再現するという姿勢で、研鑽を重ねていきました。その結果、近代日本画壇において、美人画の地位は、確実に向上していきました。
今回の展示では、美人画の近代化に邁進してきた鏑木清方と、その弟子たちによる佳作、さらに彼らの同時代の美人画家たちが描いた、さまざまな女性美の競演をお楽しみいただきます。