京の新緑のころは、今宮祭・御霊祭・日吉祭・稲荷祭など十余の祭礼で賑わいます。
中でも祇園祭や時代祭とともに京の三大祭の一つである葵祭はその中心ともいえましょう。
今回の展示は、祭気分も手伝って軽い取り合わせのなかにも神事の釜でありますので、その心を忘れずに企画いたしました。
その中から、土佐光吉筆 源氏物語 車争図 葵 を紹介しましょう。
この掛物は詞書を烏丸光廣が書いていますように、賀茂祭に出掛けた光源氏の北の方葵が、六条の御息所と出会い、かねてよりの意趣もあって乗っていた牛車の場所について位置争いをする有名な場面です。
筆者の土佐光吉は、大和絵々師の中にあって大画面の屏風画よりも色紙絵などの小画面に土佐派の真骨頂を求め、近代源氏絵の基礎をつくったと評価されている画家です。
どうか皆様のお出かけをお待ち申し上げます。