イタリアの20世紀の美術は未来派の登場とともに幕開けます。機械のダイナミズムとスピードを賛美し、古い既成観念から解放された新しい芸術の創造を目指した彼らの活動は、現代へと続くヨーロッパの前衛美術に大きな影響を与えました。一方で、幻想的で謎に満ちた作品で知られるデ・キリコの創始した形而上絵画が、ほぼ同時代に生まれています。その静的な表現からは、明朗かつ堅固なイタリア古典絵画の伝統が感じられます。
伝統を乗り越えて新しさを模索しながらも、ときに古典に回帰してそのなかに新たなリアリティを見出していく。それが長い歴史をもつイタリア美術ならではの魅力です。本展では、油彩画、版画、彫刻作品など約100点を展示し、その多様な全貌をご紹介します。