懐かしい農村風景や庶民の暮らしを詩情豊かに描いた、きりえ作家、滝平二郎氏は、日本の美しい四季や山里の風景、親愛の情景等、日本の心の情景を語りかけるように描く独自の「きりえ」の画風を切り開きました。
また、版画家・絵本作家として「きりえ」を用いた絵本、「花さき山」や「モチモチの木」、「八郎」など数多くの名作童話を残し、今日でも世代を超えて読み継がれています。
特に、朝日新聞の家庭版や日曜版への連載を通して、滝平作品は子どもからお年寄りまで広く知られることとなりました。
滝平氏は、平成21年5月に惜しくも88歳で逝去されましたが、本展は生前の画業を集大成した回顧展となります。力強く、優しく繊細に描かれた「きりえ」の魅力を通して、消えゆく「日本の心の風景」の美しさを再発見してゆく展覧会でもあります。