" 京都国立博物館では秋の特別展覧会として「花鳥」「山水」を催し好評を博しました。それに続き「人間(ひと)」を主題とした展覧会を開くことを念願としておりましたが、この度、実現する運びとなりました。
もっとも身近な存在である人間を私たちはいったいどのように表現してきたのでしょうか。
あらためていうまでもなく、人間は肉体的にも精神的にも多様な面をもっております。たとえば、生きていることだけではなく、死後の世界への関心すらもつのは人間だけではないでしょうか。ある意味では、人間ほど゛奇妙な動物""はいないのかもしれません。
この展覧会は、次のような十のテーマにわかれています。「人のきずな」「恋と愛」「なりわい」「遊び」「祝祭の時」「旅・隠逸」「夢」「異貌に込めたもの」「あらぶる心」「調和へ」。こうしたテーマのもとに、時代は縄文時代から江戸時代まで(一部中国を含む)、分野は絵画・書跡・彫刻・工芸・考古にまでおよぶ遺物・作品が陳列されます。
美しいものだけが貴重なのではありません。止むに止まれず表現せずにいられなかった思いの深さこそが貴重なのです。その思いを理解し、共感し、感動することを通して、新たな博物館活動のあり方までも呈示することができれば、私たちにとってこれに優る歓びはありません。
出品作品:国宝「後鳥羽天皇宸翰御手印置文」(水無瀬神宮蔵)
国宝「明恵上人樹上坐像」(高山寺蔵)
国宝「渓陰小築図」(金地院蔵)
重文「日月山水図屏風」(金剛寺蔵)
重文「舞楽面 二の舞」(真清田神社蔵)
「堀江物語絵巻」(残欠本)岩佐又兵衛筆
「愛染明王形兜」 など
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