最近、縄文時代に熱い視線が注がれています。北海道初の国宝となった、函館市南茅部出土のいわゆる「中空土偶」、青森から北海道に広がる縄文文化圏をユネスコの世界文化遺産に登録する運動など、縄文ブームともいえるほど、各地で展覧会やイベントが催されています。地球温暖化など自然環境への負荷が議論され、エコな生活や環境保護への関心が高まっている現在、縄文文化に見られる自然と人間との共生関係が注目されているのです。
では美術の分野では、縄文文化はどのように見られてきたのでしょうか。さまざまな造形的な実験が繰り広げられた20世紀前半、ヨーロッパでは原始美術の持つ素朴で力強い造形が多くの芸術家たちを魅了しました。日本でも第二次大戦後、縄文時代の土器や土偶、古墳時代の埴輪などに見られる原初的な造形美に触発され、斬新でユニークな造形を陶芸で生み出した芸術家たちが現れます。
本展は、やきものアートの原型ともいえる土器や土偶、土俗的でプリミティブな造形がかきたてる古代への憧れ、こうした古代造形の世界を紹介するとともに、それらに触発された近現代の作家たちの陶芸作品、合わせて82点を紹介するものです。土と炎が生み出す不思議な造形、古代人たちをも魅了したその造形世界をお楽しみください。
[学校連携] この展覧会では、札幌市立円山小学校と密接に連携し、縄文太鼓の制作と演奏のワークショップを行います。講師に下沢敏也氏(作陶指導)と茂呂剛伸氏(革張り・演奏指導)をお迎えし、演奏会を開催。制作した縄文太鼓は演奏後、会場に展示します。
ARCHAIC FANTASY(アルカイック・ファンタジー)は、「古代幻想」の意。古代への憧れをテーマにした本展のコンセプトを示すタイトル。