「人は何のために生まれ何のために生きるのか」――
近代漫画の金字塔ともいえるやなせたかしの名作「アンパンマン」が伝える人間世界の生命讃歌、平和への希求、弱者への労わり、人が人を愛することの無限の歓び。
それは、かつて彗星のように大正画壇に登場し、22歳5ヶ月で逝った詩人画家村山槐多の、「絵を描いたときは絵を描き、故意をしたいときは恋をする」「狂はん狂はん狂はん、狂ひて描かん狂ひて描かん」という不屈の芸術愛、人間愛に通底するものです。槐多が一本のガランス、一本の絵筆に賭けた情熱が、「アンパンマン」の発する「人間は何のために生きるのか」という問いへの答えを明示しているのです。
没後90年をへて今も燦々と輝きつづける村山槐多の詩絵と、当年91歳の「青春」を謳歌してやまないやなせたかしの純情あふれる詩絵との、世にもスリリングな「生命のコラボレーション」をとくとご覧あれ。