2010年代を迎えた現在も、20世紀の重みは変わりません。前世紀における世界の動向、社会背景などは今を生きる私たちに分かち難く結びつき、未来に住まう人々全てにもかかわりを持ち続けているからです。二度の世界大戦や政治的・経済的・地球環境的な変動は著しい影響をもたらしました。美術の世界ではフォーヴィスム、表現主義、シュルレアリスムなどの運動が20世紀の第一四半期までに次々と起こり、第二次世界大戦後は新たな芸術の中心地となった米国が、ギリシア・ローマを淵源とする西欧の美術史とその手法を世界の美術に敷衍させる推進力となりました。
激動する世界のなかでも、人間は確かに存在しています。美術作品に表された人間像はその証です。人の姿を現した絵画や彫刻は、親しみと共感をもって私たちに語りかけてきます。本展は徳島県立近代美術館の優れたコレクションから38作家39点を紹介し、過去・現在・未来をつなぐ20世紀の人間像を通して、人間とは何か、そこから何を見出せるかを問いかけるものです。
この展覧会は徳島県立近代美術館の全面的なご協力によって実現しました。徳島県立近代美術館では1990年11月に開館する5年前から、明確な収集方針のもとに作品が収集されてきました。その結果蓄積されたコレクションは国内外の著名作家作品を含む豊かな内容として徳島県の名を高からしめています。コレクションの充実は美術館活動における調査・研究、企画、教育普及の基盤ですが、地域の発信に貢献する資産でもあるのです。本展ではコレクションの重要性をも実感されることでしょう、