コード化されていく欲望。コード化されえない、私たちの身体とは--。
情報技術と知覚との関係を、時代の変化とともに克明に描き出し、私たちの身体や、その存在について、独自の視点から作品を発表し続けるアーティスト、三上晴子。彼女の活動を総合的に紹介する本展は、滞在制作による新作インスタレーション(YCAM委嘱作品)と、関連展示2作品を含む大規模な個展となります。
「Desire of Codes」と題された新作では、YCAMのスタジオA全面を3つの作品で構成します。観客の動きとともに変化する壁面に広がるインスタレーション(参考写真)、観客の動きを追うレーザプロジェクターが搭載された6基のロボットアーム、そして、昆虫の複眼のような巨大なスクリーンが登場します。各装置は、生物が蠢くように観客の動きにあわせて一斉に動き出し、内蔵カメラが観客を監視しながら独自のデータベースを作り出します。そこに世界中で稼働する監視カメラの映像が交わり、時間や空間を断片的に組み変えながら、巨大な複眼スクリーンへと投影していきます。
本展は、プログラム言語、遺伝子暗号、個人情報など、個人の趣味趣向さえもがコード化されていく現在の社会の様相をテーマにしています。私たちが生きる環境さえも情報化される中で、「データとしての身体」「コードがもつ欲望」とは―。その変化とは―。観客自身の身体が監視と表現の対象となる本作は、私たちの存在をも問い直す意欲作となるでしょう。
展覧会サイト http://doc.ycam.jp/