濱田庄司氏(1894~1978)は、日本陶藝界に燦然と輝く巨星です。昭和33年最初の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定され、昭和43年に文化勲章を受章していることからも、濱田庄司氏の評価の高さが伺われます。柳宗悦氏、河井寛次郎氏らと民衆の工藝に健康的な美を認める民藝運動を創始し、益子焼の名を一躍有名にしたのも濱田庄司氏でした。その作品は一見素朴でありながら、研究と経験に裏打ちされた、力強く気品のある作品となっています。
石洞美術館の収蔵品を蒐集した石洞翁・佐藤千壽(1918~2008)は、1960年代の初め、縁あってこの濱田庄司氏と出会い、その人柄に一目惚れしました。爾来、佐藤は濱田氏を敬慕し続け、濱田氏の作品を愛玩するとともに、その弟子達とも交流も深め、その交流の中から現代陶藝のコレクションを形成していきました。
「濱田庄司とその系列」展は佐藤が生前命名して、一般公開することを望んでいた企画で、本展は、その第1回として、濱田庄司氏の作品52件を中心に、晋作氏、友緒氏の濱田家三代の作品を紹介いたします。
展示する濱田庄司氏の作品は、佐藤が親交を深めた1960年代から1970年代前半の比較的短い時間のもので、濱田氏の作品の軌跡を追うことまではできませんが、円熟期を迎えた頃の作品コレクションとして、是非その魅力を味わって頂きたいと思います。
なお、濱田庄司氏と民藝運動を展開した柳宗悦氏、芹澤銈介氏、棟方志功氏、バーナード・リーチ氏の作品15件を展示した小展示「民藝運動のきらぼし」展を同時に開催します。