林静一は1945年に満州で生まれ、終戦を迎えて帰国。1962年に東映動画に入社し、「狼少年ケン」などの制作に携わりました。1967年には漫画家としてデビューし、漫画誌『ガロ』にて作品を発表します。1970年に連載を開始した「赤色エレジー」は当時の若者の姿が色濃く描かれ、あがた森魚のヒット曲のモチーフともなり、時代を象徴する作品となりました。
1974年、ロッテ・キャンディで「小梅ちゃん」を生み出し、その可憐な女性像が人気を集め、国内外のCF映画祭にて数々の受賞を重ねます。歌番組のアニメーション、ポスター、レコードジャケット、絵本など、その仕事は幅広く、特にイラストで多く手がけた女性美の世界は「現代の竹久夢二」と称されています。
本展覧会では、イラスト原画や絵本原画、近年取り組んでいる日本画、初期の貴重な作品など約260点紹介いたします。しなやかで優美な林静一の多彩な世界をお楽しみください。