当館では、現代ガラスをテーマにした独自の企画展を開催しています。このシリーズ展では、多様で少々難解な現代ガラスをいくつかの技法別に分類展示することで、皆様に明解にわかりやすく親しみやすく紹介することを目指してきました。今般は「ガラスの色彩(いろ)展」と題して、色ガラスを使用した作品やガラスに彩色した作品などにスポットを当てます。
一般的に、色ガラスは、ガラスの原料に金属の酸化物などを加え、熔融させてつくられています。古代の原初的なガラスは、もともと原料に鉄分などの不純物が多く含まれていました。この不純物によってガラスが着色してしまうために、無色透明なガラスを生み出すことはなかなか困難でした。むしろ貴重な宝石などに色を似せたガラスがつくられていたようです。やがて、ガラスの装飾効果を高めるために、色は更に多用されるようになりました。異なる色のガラスを並べたり重ねたりして一体化させる、ガラスの表面に絵を描いて彩色するなど、色を使ったガラスの技法や表現も発展していきました。
本展では、こうしたガラス造形の色に関する技法やその応用に触れながら、多彩な現代のガラス造形作品を展示いたします。この機会に、色彩表現の豊かさや、色ガラスの美しさを味わっていただくとともに、ガラスの特性と技法も知っていただければ幸いです。