江戸時代の後期、安永年間(1772~1780)笠間に窯業の火が灯りました。以来、約230年後の今日まで関東最古のやきものの産地として営々と操業を続けてきました。全国的に見れば、信楽や丹波など1000年以上の歴史を持つ産地に比べ、まだまだ若い産地と言えます。しかし、その始まりには諸説あるなど、謎の多いやきものでもあります。
また、現在の笠間は自由な雰囲気と大都市に近いという利点から、いち早く作家達の里として転換を図り、全国各地や海外から陶芸を志す若い世代が集まりました。こうして「地方色」や「伝統」から解き放たれ、笠間は新たな産地の様相を呈してきました。一方で笠間で採れる陶土や釉薬の研究を重ねつつ、モダンな解釈を加え、新たな「笠間焼」を追求する作家や窯元の姿も見られます。
開館10周年を記念する本展は、信楽、相馬、益子といった笠間焼に縁のある他産地との比較からそのルーツを探ると共に、県内を中心に活動を続ける114人の陶芸家の作品により茨城陶芸の「今」を紹介します。