明治20年(1887)熊本に生まれた堅山南風は、大正2年(1913)第7回文展に出品した「霜月頃」が横山大観の推薦により二等賞(最高賞)を受賞したのを機に大観を師と仰ぎ、翌年より大観らが再興した日本美術院に参加します。13年に同院同人となった南風は、写生を基にしながら草花や魚を題材にした作品を発表しますが、戦後はこうした花鳥画に加え、モダンな静物画や円熟味ある肖像画に新たな画境を拓き、昭和33年(1958)に日本芸術院会員、38年に文化功労者となり、43年には文化勲章を受章するなど、55年(1980)に93歳で亡くなるまで日本画壇の中心的存在として活躍しました。
また、日光の「鳴龍」や日光・中禅寺(立木観音)の「瑞龍」をはじめ、寺社の障壁画や天井画を多く手がけたのも南風の大きな業績のひとつといえるでしょう。
本展では南風の没後30年を機に、初期から晩年に至る代表作を含む日本画作品60点を中心に、「鳴龍」小下図、幅14メートルにも及ぶ迫力ある「瑞龍」大下図やスケッチなども多数展示し、その画業を回顧します。ぜひこの機会に、豊かな色彩感覚によりすがすがしくも大らかな画風を展開した南風芸術の魅力をご堪能ください。