クレパスは、1925(大正14)年、日本で生まれました。クレヨンとパステルの両方の長所を備え、使いやすく身近な描画材料として開発され、学校教育を通して広く普及してきました。そのせいか一般的には子どものための「お絵かき」用具という見方が強いのですが、鮮やかな発色や手軽さなど、様々な表現の可能性をもつクレパスは多くの画家に愛用され、親しまれて来ました。実際に画家たちは、具体的表現や抽象的表現にかかわらず、ある時には繊細な線描によって、ある時にはていねいに塗り込んだ色面によってそれぞれ個性的な作品を制作しています。それらは、油絵や日本画や水彩画とはまた違った魅力に満ちています。
本展では、クレパス画146点をサクラアートミュージアムと笠間日動美術館のコレクションの中から精選して紹介します。また特別展示として、それらに当館所蔵の武内鶴之助のパステル画22点を加え、計168点で構成します。