2010年夏、東京国立博物館では、中国の河南省で出土した数々の名品に焦点をあて、中国文明の誕生と発展のあとを振り返る特別展「誕生!中国文明」を開催します。
2009年末に報じられた「三国志」の主人公・曹操の墓が発見された河南省は、中国大陸を西から東へ流れる黄河の中流域に位置する中国王朝発祥の地です。中国最初の王朝といわれる夏の中心地は、河南省にあったと考えられます。その後、商(殷)の安陽、後漢・魏(三国時代)・北魏(南北朝時代)の洛陽、北宋の開封など、歴代の名だたる王朝が河南省に都をおきました。夏が始まった紀元前2000年ころから北宋が滅亡した12世紀ごろまで、河南省は中国の政治、経済、文化の中心地として栄えました。この展覧会は、「王朝の誕生」「技の誕生」「美の誕生」という三つのテーマで構成されます。
最新の発掘成果を交え、青銅器、金銀器、漆器、陶磁器、壁画、彫刻、文字資料など、150件をこえる名品が勢ぞろい。
これらを通して、王朝、工芸技術、文字(漢字)など、中国文明を特徴づけるさまざまな要素がこの河南省で生まれ、ダイナミックに発展していくさまをたどります。今までにないまったく新しい視点からの中国展をぜひお見逃しなく。