桃山・江戸文化の中で開花した漆の美は、当時、肥前にも伝わりました。
今なお残る漆工芸品として、藩主鍋島直茂が、豊臣秀吉の大坂・玉造にある鍋島邸への御成(おなり)の際に誂((あつら)え、後に孫の小城藩主鍋島元茂に譲った「菊桐紋蒔絵 風呂桶」、「菊桐紋蒔絵 角盥(つのだらい)・楾(はぞう))」(佐賀県重要文化財)や、鹿島鍋島家旧蔵の「唐草杏葉紋蒔絵 女乗物(駕籠)」や御道具類があり、現代にもその美しさを伝えています。
今回のテーマ展示「漆の美」では、中国渡来の漆工芸や、日本製ヨーロッパ向けの漆製品、幕末の絵師柴田是真(しばた・ぜしん)の漆彩色「風物図帖」など、多種多彩な漆工芸をお楽しみください。