冷静さと機知をあわせ持ち、客観的な視点で近代都市パリの情景を描き残したエドガー・ドガ(1834-1917)。ドガは、印象派展に第1回から出品し、そのグループの中心的な存在でした。しかし、屋外で光と色彩に満ちた風景画を描いた多くの印象派の画家たちとは異なり、主にアトリエの中で制作し、踊り子や馬の一瞬の動きや都市の人工的な光をテーマとして、知的で詩情あふれる世界を築きました。油彩の他、パステル、版画、彫刻など様々な技法を研究し新しい表現を試みると同時に、日本美術や写真など、当時紹介されたばかりの美術の要素を取り入れ、近代絵画の可能性を大きく切り開いた画家といえるでしょう。
このたび、オルセー美術館の全面的な協力を得て、国内では21年ぶりとなるドガの回顧展が実現することとなりました。オルセー美術館所蔵のドガの名品45点に、国内外のコレクションから選りすぐった貴重な作品を加え、初期から晩年にわたる約120点を展観いたします。
生涯を通じ新たな芸術の可能性に挑戦しつづけた画家ドガの、尽きぬ魅力を堪能できる展覧会です。