山下清は1922年、東京市浅草区田中町(現・台東区日本堤)に生まれた。幼い頃に患った重い消化不良のため、軽い言語障害と知的障害が残った。やがて千葉県の知的障害児施設「八幡学園」に入園。そこで貼絵(ちぎり絵)の指導を受けた。清は貼絵に熱中し、モザイク画のように細かい独自の表現技法を獲得した。
1940年に施設を脱走。様々な職業に就きながら1954年まで全国を放浪した。放浪中はほとんど作品を手がけず、時折戻った実家や八幡学園で、数ヶ月あるいは数年間に見た様々な光景を思い出し、貼絵で細部まで丹念に再現していった。繊細で美しく、暖かみのある作風から「放浪の天才画家」「日本のゴッホ」と賞賛され、人気を集めた。
本展は、清の甥、山下浩氏から提供された資料等をもとに、山下清の人間像に迫り、芸術家・山下清の真の姿を紹介する。従来の展覧会とは一線を画した、新たな感動が味わえる展示構成となっている。