いにしえより「かざり」は、聖なるものへ捧げられ、死後の世界を彩り、権力を演出し、ラレの場を非日常へと変え、自らを美しく見せるために生み出されてきました。美しい「かざり」は、時間や空間、民族や宗教、地位や階級などの垣根を易々と越えて伝播し昇華され、それぞれの国や民族に特有の輝きを放っています。
展示では、現存する綾地緯綿の衣服としては世界最古と考えられる「双鹿連珠円文綿外衣」(中央アジア 7世紀頃 MIHO MUSEUM蔵 初公開)や、清の最盛期の皇帝、乾降帝が所用したと伝わる豪華な「龍袍」(中国・清時代 伝乾降帝所用 文化学園服飾博物館蔵)、平安時代より唯一伝存する、精緻を極めた意匠が施された「洲浜鵜螺鈿硯箱」(平安時代 重要文化財 個人蔵)などを展観しながら、ペルシアから中央アジア、中国、インド、挑戦、日本に亘る多彩な作品と通して、アジア各地域の「かざり」の精神と美意識に迫ります。