2007年、ふくやま美術館は国宝7口・重要文化財6口の刀剣の寄託を受けました。このたび、これらの貴重な文化財が登録美術品に登録されることを記念し、およそ2年半ぶりに一堂に展示いたします。
このコレクションは、最も日本刀が発展を遂げた平安時代から南北朝時代にかけて相模・山城・備前・筑前の名工たちが制作したものです。なかには、蒲生氏郷の愛刀で加賀前田家、そして五代将軍・徳川綱吉へと伝えられた《短刀 銘国光 (名物会津新藤五)》(国宝)や、豊臣秀吉の指料でやがて二代将軍徳川秀忠の手に渡った《短刀 銘左/筑州住》(国宝)のように、その由緒を桃山時代まで辿ることができる名品もあります。また徳川将軍家に相伝した備前一文字派の傑作《太刀 銘吉房》(《太刀 銘則房》(いずれも国宝)や、柳沢吉保が徳川綱吉から下賜された《刀 無銘伝来国光》(重要文化財)など徳川家に有縁の名刀を多く含みます。
曲線的な姿形、刃文、鍛え肌などに美を見出し、賞玩されてきた鉄の芸術を13口の名刀でご紹介します。