1895(明治28)年に滋賀県大津市に生まれ、2000(平成12)年に105歳で世を去った日本画家、小倉遊亀(おぐらゆき)の画業を紹介する展覧会です。小倉遊亀は大正から平成にわたるおよそ80年の画業の中で同時代の女性像や静物を、力強い構成と鮮やかな色彩で生き生きと描きだしました。鋭い観察眼と豊かな感性でとらえられたその世界は今なおみずみずしい輝きを放っています。
遊亀は奈良女子高等師範学校(現在の奈良女子大学)を総代で卒業、25歳の時に安田靫彦(やすだゆきひこ)に入門し日本画家の道を歩み始めました。日本美術院を活動の場とし、67歳で日本芸術院賞、85歳で文化勲章を受章するなど戦後の日本画界に大きな足跡を残しました。
本展覧会は、遊亀の没後10年にあたり、初期から最晩年までの作品、下絵、挿絵等約100点でその画業を回顧するものです。激動の20世紀を生き、時代の諸相を鮮やかに描き出した画家の世界を紹介します。
なおこの展覧会は、2008(平成20)年12月5日に兵庫県立美術館と滋賀県立近代美術館との間で締結された、相互協力に関する基本協定にもとづく事業の一環として開催するものです。