90歳となるのを目前に、この4月半ば、惜しくも他界された日本画家毛利武彦の遺作展です。
毛利武彦は大正9年(1920)に彫刻家毛利教武の子として東京に生まれ、東京美術学校日本画科に学びました。戦後は山本丘人に師事し、創造美術から新制作協会日本画部をへて創画会会員として活躍、画壇を代表する作家のひとりとして高く評価されました。人間や自然に深く入り込んで存在の神秘を象徴的に捉えようとした作品は、命ある物への深い共感と東洋山水画がもつ孤高の精神への志向が見て取れます。
本展は、毛利の初期から近作までの代表的な作品と写生など約20点によって、その芸術の軌跡をダイジェストでたどるものです。