韓国の民画は李朝末期から20世紀前半にかけて、朝鮮半島の中産階級や庶民の家庭で飾られていた絵画の総称です。宮廷画家たちが中国的な主題を好んで描いたのに対して、旅の絵師によって描かれた民画は、日常生活、精神生活に深く結びついたもので、その作風は変化に富み、当時の民俗、風俗、宗教などを反映させた独特の世界を現しています。学問をする子供部屋に文字図や冊架図、年老いた父母のために不老草を求めた孝子と孝女の話や三国志などの長大な叙事詩を要約した連作民画などを置くことで、大人は子どもたちがそれらを通して知識や智恵を身につけてくれることを願っていたのです。
現在韓国では、絵本が子どものための新しい情操教育メディアとして脚光を浴びており、さまざまな形で出版されています。これら絵本は子どもだけではなく、大人の心と目をとらえる視覚芸術文化として、昔の「民画」のような位置を占めていると言っても過言ではありません。
本展覧会では、過去100年の時間の中で変化してきた韓国の日常的な視覚芸術文化を、過去の「民画」36点と現代の「絵本原画」80点を通して紹介します。