新潟が生んだ三人の洋画家、小野末(1910~85)、竹谷富士雄(1907~84)、三芳悌吉(1910~2000)は、ほぼ同時代に生きながらも、それぞれ独自の道を歩みました。
新潟市に生まれた小野末は、24歳の時に上京し、当時の洋画壇の寵児であった安井曾太郎の唯一の弟子となりました。闘牛や岩山を主なモティーフした小野の作品は、独特のマチエールを用いた叙情感あふれる画風が人気を集めました。
五泉出身の竹谷富士雄は、村上中学を卒業後、18歳で上京します。さらに1932年にはシベリア鉄道でフランスに渡り、シャルル・ブランから本格的なデッサンを学びます。帰国後は藤田嗣治に師事し、フランスの街並みを鮮やかな色彩で描き続けました。
三芳悌吉も、幼少時から18歳の時までを新潟で過ごしました。当初は新潟医科大学の解剖学教室に勤務し、標本スケッチや解剖図を描いていましたが、やがて画家をめざして上京します。親しみやすい緻密な画風が人気で、新潟市の異人池を題材にした絵本『ある池のものがたり』の挿絵でも広く知られています。
このたびの常設展では、それぞれの形で開花した三人の作品世界を楽しむとともに、日本独自の洋画をめざした作家たちの苦闘の跡も感じ取れる機会になれば幸いです。