植物画は古代より、薬草に関する知識を伝えるために描かれてきました。やがて大航海時代以降の植民地の拡大により、多数の外来の植物がヨーロッパへ流入しはじめると、それを解明するための新しい科学として植物学が誕生します。このような歴史的背景と並行しながら、版画技法の発達によって、科学的な正確さと芸術的な美しさとを兼ね備えた植物画が数多く制作されるようになりました。特に18世紀後半からは「植物画の黄金時代」と呼ばれ、植物画は幅広い大衆へと広まっていきました。
本展覧会は17~19世紀に制作された114点の植物画の秀作を選び、時を越えて色鮮やかに咲き続ける花々の魅力とともに、西洋植物画の発展の歴史を紐といていきます。