20世紀初めのフランスを代表する画家、モーリス・ユトリロ(1883‐1955年)は、自らが生まれ、愛したモンマルトルの町並みを繰り返し描き評価を得た画家で日本でも非常に人気があります。母親も画家であったものの、正規の絵画教育を受けたわけでないユトリロの表現力は天賦の才としか言いようがなく、詩情に満ちた独自の風景世界を創り出しています。
当館では、2002年に一度ユトリロ展を開催し好評を博しましたが、再び開催となる本展は、日本初上陸となる作品90余点を一挙公開するという画期的なものです。それらを三時代に区分しユトリロの全画業をたどるとともに、数奇な運命に苛まれ、常に孤独と隣り合わせにいたユトリロの生涯も紹介してまいります。