田中一村(1908-77)は、栃木に生まれ、千葉市に20年住み、奄美大島へ渡って亜熱帯植物を題材にした日本画を描き、生前それらの作品を公表する機会もなく無名のまま没した画家です。画業一筋の生涯のあり方や作品が没後テレビ番組で紹介されたのをきっかけに全国にブームともいえる現象がおこりましたが、そうした人気の一方で作品に関する基礎的な研究が広く行われないままにありました。
本展は、一村ゆかりの地にある美術館が共同で本格的に取り組む初めての回顧展で、近年の調査成果をもとに、新たに発見された資料を多数含む約250点の出品作品により、画家としての実像を改めて見直す大規模な展観となります。